ホイールシリンダのオーバーホール(O/H)がある。
一部の高級車やスポーツタイプの車を除いて,リアブレーキはドラム式が主流で,定期的なオーバーホールは欠かせない。オーバーホールを怠ると,腐食が進行し,ブレーキフルードが漏れるケースがある。
ブレーキフルードが漏れている場合は,カップの交換だけでは再発してしまうことが多いので,ホイールシリンダAssyの交換となるが,多くのオーバーホールはカップとダストブーツのキット交換を実施している。
小型車の主流はピストンの溝にカップがはまり込んでおり,指の力では古いカップを取ることができない。私は,その取り外しにスナップオンから戴いたポケットドライバーSDD2040を加工したものを使用。
写真のとおり,シャンクを湾曲させ,てこの力でカップの硬いゴムを変形させてピストンから取り外すのだ。湾曲の外側の角が立っている部分は丸く削り落とした。
それまでホームセンタの工具売り場で売っている数十円のマイナスドライバーを加工して使っていたが握りが細すぎるし,時折シャンクが変形してしまうのだ。
トヨタ車のようにピストンがアルミニウムのアルマイト加工品の場合,カップを取り外す際,ピストンに傷をつけないように慎重に作業する必要があるが,多くの場合はピストンがスチール製なので,それほど神経質になることはない。
左方優先 says
楽しく読ませて頂き、大変参考になっております!
ドラムブレーキのOHではシューを固定するピンの付け外しに苦労しております。ちゃんとした工具がなく、現在は工場長自作の貫通ドライバーの軸を削った物(形状はバルブコア外しを大きくした感じ)を使っておりますが、真正面からまっすぐ押し付けないと固定されないので、バネが固かったりすると外れて最悪の場合ケガしてしまいます。たいていのはすんなりいくのですが、やっかいなのは特にトヨタのドラムインディスク。ハブが邪魔してまっすぐ押し込めないので苦労します…何か良い工具をご存じないですか?
ハンドツールマスター says
左方優先さん、はじめまして。
今はKTCのシューホールドスプリングツールを使用してますが、以前は汎用工具で行ってました。
丸型のスプリングシートの場合、コンビネーションプライヤで側面をしっかり挟んで押し込み、バックプレート裏からピンを回します。素手の方が感覚がわかりやすいです。
板バネ式の場合は、ラジオペンチの先端を溝にあてがったまま押し込み、同様にバックプレート裏からピンを回します。
装着するときも逆手順で同様ですね。
慣れればこの方法も悪くないです。
さて、ご質問のトヨタのインドラムですが、仰る通り大変困難な作業です。
頻度の低い作業ですので、それなりに苦労しながらなんとか乗り切っているという感じです。残念ながらご期待に沿える情報はありません。
今後ともよろしくお願いします。
左方優先 says
早速の丁寧な回答有難うございます。こちらこそ宜しくお願いします!
工具を持った利き手はプレートを押し込むことに専念するというのは目から鱗ですっ 裏側からピンを押さえる事はあっても回す事までは考えが及びませんでした。
トヨタのはイヤらしいですよねェ。せめてハブに窪みを付けてくれてたら…
業界の諸先輩方に「道具が仕事をする」と言われましたが、今でも時々実感します。
また、各工具別にコメントさせて下さい!