握り物というものは本来汎用性の高い工具だが、ジャストフィットする場面は多くない。
特にクニペックス(KNIPEX)はジャストフィットを追求し、独創的なデザインと剛健な作りでユーザを魅了するが、汎用性は薄れて種類が多くなる。
できれば汎用性の高い工具をチョイスしたいという欲求に応えたのが写真のスリップジョイントスパナである。
オウムのくちばしを連想させるフォルムで全長は250mm。
コブラと同様の可動部を持ち、10mmから32mmまでのボルトナットを回すことができる簡易モンキーレンチだ。グリップを握ったり緩めたりすることで、滑らかな掛け替えができ、早回しを可能にする。
また、下あごの内側のラインは曲線を描き、面接触でボルトナットを掴む配慮がされていて、簡易モンキーといいながら、バックラッシュの多いモンキーよりは高トルクが掛けられる。
私は、スリップジョイントスパナ使用場面として、トー調整をイメージした。
クローフットレンチでタイロッドのロックナットを緩めた後、ラックエンドを同スパナで回そうと考えた。
実際の作業では、スペースがタイトでスリップジョイントの調整に少々手間取るし、小型車の場合は250mmの全長が長すぎる場合もある。しかし、ラックエンドに作り込まれた六角形状は角があまり鋭くなく,断面が丸いものでもトルクの掛けられるこのようなスパナがいい具合にフィットしてくれるのだ。
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