カノン(中村製作所)プリセット型トルクレンチ 450QLK

プリセット型トルクレンチの紹介。

写真は,カノンのブランド名で知られる㈱中村製作所のトルクレンチで品番は450QLK。トルク調整範囲 10~45N・m の比較的低トルクで使用するもの。緊急を要して近所のホームセンターで購入した低価格が魅力の製品である。

3/8″dr.のラチェットヘッドはありきたりの小判型で作りの粗さには目を瞑ろう。

スナップオン(Snap-on)など最近のプリセット型のトルクレンチは反時計回り方向も作動するのが増えてきているが,このトルクレンチは時計方向(矢印の刻印がある方向)のみの作動である。

連続作業の場合,ラチェットヘッドの便利さと相まって小気味よく作業できるプリセット型は,やはり揃えておきたい一本である。

恥ずかしながら,このトルクレンチに対して購入して10年間,一度もキャリブレーションをしていない。取扱説明書には「3ヶ月毎に1回,又は10万回締付毎に一回点検を行ってください」との記述がある。

1000回使用したかどうかのトルクレンチがとれほど狂っているのか興味があるところだ。

しかし,ご承知の通り,自動車のサービスマニュアルに記載されている規定締付トルクはかなりの幅があるので,経年変化の狂いなど,その範囲内に十分収まっている気もする。

また,トルク管理,トルク管理とやかましく言うけれども,締付けトルクをいくら正確にしたところで,さまざまな条件によって実際の締結力に相当のばらつきが生じているのはプロのメカニックであれば誰でも知っていることである。

シリンダーヘッドボルトの締め付けで,より締結力の安定する塑性域での締め付けを行っているものがあるのは,そのためである。

サンデーメカにも手の届く安価なトルクレンチが出回っており,ホイールナットの締結をトルク管理している光景をたまに見かけるが,トルクレンチを使うだけでは「正しい」締め付けになっていないこともある。

最後に,プリセット型特有の保管時の注意として,最低測定トルクに目盛りを合わせて保管することが常識として言われているが,カノントルクレンチの取扱説明書にその記述は無い。

内蔵されているバネにより大きな力が加わったままになると,若干の塑性変形により狂いが生じるというのがその理由だろうが,精度を保つのであれば定期的なキャリブレーションの方がより効果が高いだろう。


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