走行距離が短く,屋外に駐車している車に多いトラブルが,ディスクキャリパ内の腐食である。
症状が進行しているものはピストン表面に錆による浸食が多数見られ,そのまま知らずにピストンを押し戻すと(ブレーキパッド交換時等)ブレーキフルード漏れなどの原因になる。定期的なオーバーホールは欠かせない。
さて,パーキングブレーキ機構内蔵型リアディスクキャリパのオーバーホール時に使用するSSTは,以前紹介した。
過去記事「自作SST(特殊工具)」
その際使用するスナップリングプライヤが写真のKTC SCP-172LLである。
アングルチップでここまでロングリーチなプライヤは珍しく,カタログで初めて見知ったときはリアディスクキャリパ専用品かと思った。現在販売されているスナップリングプライヤの多くは,同キャリパのスナップリング脱着作業には不向きで,対象に到達するまでに各部に干渉して作業できない。
特に日産車のリアキャリパは奥まった場所に2つもスナップリングがあり,このプライヤがなかったときは,代替工具や加工工具で対応して,スナップリングの取り付けだけで相当時間を費やした。
ディーラ各社のメカニックに問い合わせてみても,メーカー指定のSSTを使っているとのことで,私の勤めている零細な町工場ではそんな高価な工具を各メーカ毎に購入するのは難しく,なにか打開策をと考えた結果が,先のSSTであり,運よくカタログで発見したのがこのプライヤというわけである。
この組み合わせで作業が熟練すると,標準作業時間より短い時間で作業を終えられる。
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