写真の一風変わった工具は,バリヤーレンチYL1A。
メーカーは大阪の枚方市にある室本鉄工㈱。MERRY(メリー)のブランド名で,ペンチなどの工具を中心にSSTなども取り扱っている。グリップ付近に3/8″ドリブンスケア,先端付近に3/8″ドライブスケアがあり,各々がタイミングチェーンで等速駆動される設計だ。許容トルクは100Nm弱。
同工具は,奥まった場所にあるボルトやナットで,レンチの振り角度がほとんど確保できない場面を想定して作られた補助工具である。先端にソケット等を,手前にラチェットハンドル等を装着して使用する。
小型車のエンジンルームは作業スペースが狭く,ファンベルトの交換や,オイルフィルタの交換ですら困難なことが多い。できるだけ作業を楽にしようと,ロングリーチのレンチや,ロングエクステンション,ユニバーサルジョイント等を駆使するが,思うように作業が捗らない。
そんな場合,このバリヤーレンチだと回転軸を平行移動して,障害物のない場所まで持ってくるので,先端のソケットが対象に届きさえすれば,振り角は問題にならず,楽に作業することができる。
ソケットが対象に勘合しないときは,フィットするまで手元でラチェットハンドルを微妙に動かせばよく。バリヤーレンチ本体は動かす必要がない。
ロングラチェットハンドルのみで作業していたときは,フィットしやすいように12ポイントのソケットをチョイスしていたが,これなら6ポイントでも使える。
また,ラチェットが手元にあるので,締め,緩めを切り替えたいときも,ソケットを対象から外すことなくできる。
今日はトヨタの4E-FEのベルト交換で初めて同工具を使用したが,従来より時間が短縮でき,作業のイライラもかなり解消できた。
回転軸を平行移動するという新しい発想から産まれたバリヤーレンチ。使い始めたばかりであるが,今後が楽しみな工具である。