スナップオン(Snap-on)のマルチパーパスラチェットの現行品はFZ936。私はいわゆる「蓋付き」の旧型F734Aを使用している。
単体でパームラチェットとして,また,ブレーカーバーとの組み合わせで,ロングラチェットやT型ラチェットとして使用できる。特にT型ラチェットとしての使用は,奥まった障害物の多い場所のベルト調整に便利である。
エクステンションと組み合わせた場合はあまり気にならないが,シャローソケットを差し込んだ場合は,その離脱の際,指先が疲労する。スナップオンラチェットのロッキングボールは相対的に大きく,使用中に容易にソケットが脱落しない反面,オイルが付着した指先などでは,このきつい勘合を解くのは難しい。
シャローソケットを使うたびに余計な体力を消耗するので,できるだけ別の工具で作業していたが,これも非効率だ。
私は幸いにして旧型を所有していたので,懇意のバンセラーに依頼してプッシュリリースラチェットF723Aの臓物を移植していただいた。
ギア数は30ギアから20ギアとなったが,特に問題なく快適に使用している。ちなみに「蓋」は丁寧に離脱しても変形は免れないとのことで,元に戻すには別の蓋を用意する必要あり。今では入手困難となったラチェットであるが,おすすめの改造である。