スナップオンの1/2 電動インパクトレンチCT9050を約1年前に新調した。
このモデルの前まで約18年間の長きにわたって愛用していたCTJ4850の部品供給が終了し、オーバーホールができなくなったからだ。
旧使用のCTJ4850は、使用開始9年で初めてオーバーホールした。
《参考記事》フラットレート修理の魅力 ~スナップオン コードレス電動インパクトの修理~ (Snap-on CTJ4850)
その次のオーバーホール時期までさらに9年、特に大きな不調も不満もなく信頼できる電動インパクトとして様々な場面で活躍してたので、オーバーホール不可の報せに落胆していたが、新しいモデルのCT9050を1年使い、この18年間のコードレスインパクトの技術革新の凄まじさを実感することになる(大きさはご覧の通り、かなりコンパクトになった)。
一番はもちろんバッテリー性能の向上(Ni-Cd から Li-ion)で、私の使い方では2週間は充電不要。そして、最大出力トルク1085Nmというスペックは圧倒的で、トルクの大幅アップは別次元と言っても過言ではない。重量は約2.83kg(バッテリー込み)と決して軽くはないが、全長208.3mmのコンパクトな設計と優れた重量配分により、片手でも扱いやすく、長時間の作業でも疲労感は少ない。スナップオンの工具らしく、グリップ形状や素材、操作スイッチの配置なども実用性を重視した設計が随所に感じられる。
バッテリー残量表示機能も装備しており、作業途中でのバッテリー切れを防げる。
また、締め付け・緩め両方向で独立したトルク調整機能(弱・中・MAX の3段階)により、デリケートな部品の脱着時にも適切な力加減で作業できる。
差し込み角1/2インチのコードレスインパクトは主にホイールナット脱着に使用すると考えていたが、実際の作業ではもっとヘビーな対象まで及ぶ。例えば、ミッション回りの奥まった高トルクボルトにエクステンションを何本も継いで、先にユニバーサルジョイントをつけるというトルク損失満載の(本当は推奨しない)場面や、サビて固着した古いボルト類の除去作業などだ。このような難儀な対象もCT9050なら数回の打撃で外れることが多く、想像を上回る超ハイトルクだ。
コードレスインパクトを使い始めた約19年前、既に旧来の1/2エアインパクトレンチの出番は無くなったのだが、コードレスではトルク不足の場合もあって、より大型の3/4エアインパクトは時々使用していた。しかし、最新のCT9050の出力トルクの強大さは、3/4のエアインパクト以上になっている。
となると、より小型で回転軸方向寸法の小さい3/8インチ差し込み角のCT9038に魅力を感じ、2本体制にしたところ作業全体の効率が飛躍的に向上することになる。
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CT9050とCT9038はバッテリーが共通仕様のためバッテリー管理が容易だ。2本を用途に応じて使い分けることで作業の幅とスピードが格段にアップした。すなわちほとんどのホイールナットは3/8のCT9038で済むし、回転軸方向寸法の短かさは、狭いエンジンルームや足回りで今までのコードレスインパクトでは物理的に不可能だった箇所に、かなりアプローチが効くようになった。
価格は確かに高価だが、プロの自動車整備現場では投資対効果は十分に得られるだろう。特に、作業効率の向上と作業者の負担軽減を考えれば、決して高い買い物ではない。
プロフェッショナルツールとしての完成度は申し分なく、スナップオンブランドの信頼性を裏付ける一品と言えるだろう。
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